世界最大の木造建築は東本願寺御影堂?

世界最大の木造建築と言えば奈良の東大寺大仏殿だと思っていたが、世界最大は実は京都の東本願寺御影堂だという説もあるらしい。具体的には、両者の大きさに関する数値を挙げると、

  • 東大寺大仏殿:幅57メートル、奥行50メートル、高さ49メートル
  • 東本願寺御影堂:幅76メートル、奥行58メートル、高さ38メートル

とのことで、高さは東大寺のほうが高いものの、面積では東本願寺のほうが広い、とのことである。また、総合評価として重要であろう容積についても、「東大寺が139650立方メートルであるのに対し、東本願寺は167500立方メートルで、東本願寺のほうが大きい」との主張もあるようである。但しこの容積の値は単純に幅、奥行、高さを掛けたものであり、東大寺大仏殿が比較的直方体に近い形であるのに対して東本願寺御影堂が比較的三角形に近い形であることを考えると、本当の容積は両者同程度、あるいは東大寺のほうが大きいということもあるかもしれない。また、現在の東大寺大仏殿が復旧されたもので当初は幅約86メートル(高さ・奥行は現在とほぼ同じ)であり、且つ東本願寺より遥かに古い時期に建てられた*1こと等を総合評価すると、やはり世界最大の名にふさわしいのは東大寺かもしれない。しかし、いずれにせよ東本願寺御影堂が世界最大級の木造建築であることには変わりない。

確かに東本願寺はデカそうなお寺ではあるが、世界最大の木造建築候補があるとは全然知らなかった。私がシンパをやってる宗教の総本山(東本願寺真宗大谷派の本山)にそんなものがあるとは、浄土真宗の教え的にはデカいものを作ることにさして意味はないとはいえ*2、微妙に感動である。東本願寺はまだ前を通ったことしかない(しかもその時は東本願寺浄土真宗だということさえ知らなかった……ほんの数年前の話である……)が、いずれ改めて見てみたいものである(信仰心からではなく、珍しいもの見たさからではあるが。。。*3)。

なお、どっちが上かはともかくとして、世界で一二を争う大きさの木造建築は東大寺大仏殿と東本願寺御影堂なわけであるが、それでは三番目がどこかというと、西本願寺御影堂がそうだという説があるようである。だとすると、真宗の主流二派(西本願寺浄土真宗本願寺派の本山)で世界最大級木造建築の上位三位中二つを占めているわけか。。。うーむ、恐るべし浄土真宗。。。なお、東西両本願寺浄土真宗だが、東大寺は何宗かというと、華厳宗の本山である。

東本願寺西本願寺も)は上記のように、一説によれば世界最大とされている木造建築物を有し、また地理的にも、国際的観光都市京都の玄関口である京都駅からすぐという一等地に位置しているにもかかわらず、あんまり「観光地化」していないようである。一般的(?)な日本人の神社仏閣巡りの目的が「ご利益」だとか「おみくじ」だとかにあると考えると、そういうものを迷信・俗信として排している浄土真宗の東西本願寺が観光地化を免れているのは、微妙に必然なのかもしれない。これを望ましいことと見なすべきか望ましくないこと*4と見なすべきかはともかくとしても、敬虔な真宗門徒や日本人の信仰に関心のある外国人的には、東本願寺が観光地化していないことは極めて望ましいことではないか、といった感じのことを、敬虔とは言えないであろうシンパ的には思っている。

*1:現在の東本願寺御影堂は1895年完成で、東本願寺自体も作られたのは1602年である。なお、東大寺大仏殿の完成は758年とのこと。

*2:東本願寺側も、世界最大だということには一応触れてはいるものの、ホームページを見た限りではあんまりアピールしてないっぽい。

*3:しかし、仰々しいものを観に行く理由を「信仰心から」とするのも、真宗門徒的にはかなり微妙な面があろう。。。と勝手に思ってる。

*4:「観光地化していない=人々から関心を持たれていない」とどうしても思ってしまうので。。。