負け組自己責任論にようやく疑問がもたれるようになったらしい

今日の中国新聞35面によると、7月23日に放送されたNHKスペシャルワーキングプア〜働いても働いても豊かになれない」の反響が広がっているらしい。私は見ていなかったが、内容はタイトルどおり、働いても働いても貧困から抜け出せない、必要最低限の収入さえ得られないという、現在の日本の現実を写し、負け組自己責任論に疑問を投げかける、というものだったようだ。

この番組を機に、今まで特に若年層で肯定的に受け入れられてきた自己責任論に、徐々に違和感が持たれるようになってきているようである。方向性自体は良いと思う。しかし、問題は時期である。自己責任論への違和感が表面に表れたのが、何故ようやく今年の7月末になってから、それもNHKが重い腰を上げて(?)報道してからなのだろうか。

働かない負け組やまともに働く勝ち組も少なくはないだろうが、額に汗水流して朝から晩まで働くのが負け組の典型で、ネットで株でも転がして儲けるのが勝ち組の典型であることは、勝ち組負け組だとか自己責任論だとかが流行りだした頃から明らかであったと思う。勝ち組負け組論や自己責任論の主張は、要するに「働く奴が悪い」である。

まっとうに働いていたが故に貧困に陥り、生きていけなくなった人の中には、もはや本当に生きていない人も少なくないだろう。何故今になってようやく「勝ち組負け組」や「自己責任論」に疑問が持たれるようになったのか、今まで人々は何を思ってそれらを支持していたのか、理解に苦しむ。気づくのがあまりに遅すぎる。

しかし、遅きに失したとはいえ、ともかくも今の日本の致命的問題点が認識されるようになったわけである。政府や世論のすみやかな方向転換を望む。