高速道路無料化と二酸化炭素排出削減

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20100202-00000114-jij-pol

高速道路無料化の社会実験を行う路線が決まったようである。

高速道路無料化は、「自動車の利用者数、利用形態が変わらない」という条件下においては、二酸化炭素排出削減に貢献し得る。自動車利用者が高速道路を「最短ルート」として選ぶことにより自動車利用者の移動距離(直線距離)あたりの実際の走行距離が減り、二酸化炭素排出削減に効果があることが期待される。

しかし、常識的に考えて、高速道路無料化はもちろん二酸化炭素排出増大につながる。高速道路の無料化が自動車の利用者数、利用形態を変えさせないなどということはあり得ない。高速道路を無料化すれば、鉄道や船の利用者が減少してバスを除く自動車の利用が増加し、自動車の中で言えばバスの利用が減少しマイカー利用者が増え、つまるところ二酸化炭素排出増大に貢献することになるのは火を見るより明らかであり、既に高速道路休日1000円化でこの懸念は誰もが予想したとおり現実のものとなった。

それではどうするか? 高速道路は一般には二酸化炭素排出削減に反するが、しかし一方で、自動車の利用者数、利用形態が変わらなければ、二酸化炭素排出削減に貢献し得る。

これを実現する方法の一つは、高速道路無料化にかかる費用をまるまる全部自動車関連税に上乗せすることだろう。これによって、自動車利用、特にマイカーの利用にブレーキがかかり鉄道・船・バスの利用者増加が期待される*1と共に、いざ自動車を使う場合は高速道路利用を促進させることができる。自動車の通る道は一般道・高速道ともに税金で整備されるわけであり、両者を分け隔てなく使えるようにすることは本来受益者負担の原則に反するものではない。

無論、自動車関連税の大幅な値上げは社会に少なからず混乱を与えるだろう。しかし、二酸化炭素削減を本気で考える上では、これは避けられないことのように思われる。自動車関連税の大幅な値上げを、一定の猶予期間内に円滑に実現することは、政治の使命であろう。もちろんこれらの前に、そもそも自動車関連税増税の話自体が議題に上る必要がある。道は、少なくとも現時点では開けていない*2

*1:広島においては、一昨年にガソリン価格が高騰した際、自動車が減ると共に広電の電車の利用者が増えたという。

*2:幸か不幸か逆方向の道も開いていないが。