ここ8年間くらいでのLinux系ソフトの進化

私は家でも大学でも、デスクトップ/ノートパソコンではほとんどLinux*1を使っている。私がLinuxをメインで使っているのは、個人的にLinuxが使い易いと思っているのと、何となくLinuxが好きだからであるが、動機としては特に後者が強いだろう。要するに私はLinux党なわけである(実力はともかくとしても)。しかし、私は今まで常にLinuxが好きであったわけではない。

私がLinuxに最初に出会ったのは、大学に入学した時(2000年4月)であった。その当時、大学のメディアセンターのコンピュータは、一部を除いて原則としてLinuxで、ほとんどの広大生は大学ではLinuxのみに触れることになっていた。

私はその時まで主にWindowsを使ってきていたが、その当時のLinuxは、デスクトップ環境としては到底Windowsにかなうものではなかった。ブラウザのNetscapeは頻繁に落ちてまとも使えるものではなかった。オフィススイートのStarSuiteMS Officeの代用には到底ならない状況で、日本語が入力できるだけでも奇跡な気がした。メーラー(何だったかは覚えていない)は日本語をぎりぎり扱える程度のもので、試しにハングルでメールを送ろうとするとメーラーが立ち上がらなくなった。デスクトップ環境はWindowMakerで、これは個人的に微妙に気に入ったが、Windowsのデスクトップ環境と比べるとショボさと使いにくさは否めなかった。IMEはかんなで、個人的には文字一覧が無いのが極めて不満だった他はあまり不満は無かったが、これもやはりWindowsIMEに比べると見劣りは明らかだった。多少なりとも「素晴らしい」と思えるほぼ唯一のソフトはgimpであった。他にターミナルでいろいろ操作をするというのも何となくカッコよかったが、全体的にはLinuxはデスクトップ環境としてはWindowsよりはるかに劣っていた。Linuxの不便さは何となく好きだとか嫌いだとかいった感情程度で克服できるものではなかった。私はWindowsを懐かしみ、デスクトップの背景をWindowsのデスクトップのスクリーンショットにしたり、アイコンをWindowsっぽくしたりして、せめて見かけだけでもLinuxWindowsにしようとしたものである。当時はFIrefox(2002年0.1登場、2004年正式リリース)もThunderbird(同?)もOpenOffice(2000年10月プロジェクト立ち上げ、2002年正式リリース)も存在していなかった。

それから8年近くが過ぎた今、Linuxはデスクトップ環境として、Windowと比べてただちに劣っているとは言えないまでになった。部分的にはWindowsより優れていると思う。FirefoxThunderbirdWindowsでも標準のブラウザ、メーラとして使っている人が無視できない割合でいる。OpenOfficeを使う上での問題点は主にMS Officeとの互換性で、OpenOfficeを単独で使う上での問題は少なく*2、それ自体として考えた場合にはMS Officeに充分対抗しうるソフトになっている。私が普段使っているデスクトップ環境のgnomeも、Windowsのデスクトップ環境と比べてあまり見劣りはせず、優れている部分も少なからずあると思う。compizが登場してからは、派手さの面ではWindows Vistaよりかなり先を行っているだろう*3。多言語環境についても申し分なく*4エスペラントに対応している場合もある*5。但しIMEについては、文字一覧や文字パッドが無い点に不満が残る*6。インストールも、特にUbuntuはほとんどワンタッチでインストール可能であり、これも数年前に比べるとはるかに簡単である。

現在、デスクトップ環境としてWindowsLinuxとどっちが優れているかは、一概には言うことは難しいだろう。しかし、仮にWindowsのほうが優れていたとしても、LinuxWindowsのすぐ後ろにいる。8年前にはるか後方にいたことを考えると、非常な進歩である。しかも、Linuxが今後進歩を遅める要因は恐らく存在しない。今後、Linuxがデスクトップ環境としてWindowsに対して優位に立つ可能性は充分あるだろう*7。いずれにせよ、LinuxWindowsMacがどうなっていくかは、今後とも楽しみである。

*1:ここでは、GNU/Linux及びGNU/Linux上で動くソフトウェアの総称としてLinuxという単語を使うこととする。カーネルとしてのLinuxには、主に私の知識不足からほとんど触れられていないが、ご容赦願いたい。

*2:無いわけではないが。

*3:その少なからずはMac OS X的なものであるが、ウィンドウを動かした時にブルブルふるえる効果とかは、WindowsよりもMacよりも先を行っていると思う。私はこの効果が無いと、ウィンドウを移動する時のウィンドウの動きが無機質な不自然なものに思えるようになってしまった。

*4:ただし大学のメディアセンターは、ハングルその他の文字のフォントが入っていないので、デュアルブートになっているウィンドウズに比べ今のところ非多言語的な環境である。

*5:ディストリビューションのヴァージョンによる。Windowsは今のところ一切対応せず?

*6:ネットの繋げる環境においては、前者の問題はGNU/Linuxと近い精神で成り立っているWikipediaによってかなりの程度解決可能。

*7:Windowsについては、今後進歩を急速に早める可能性もあると思うので、Linuxが優位に立つことが確実とは言えないかも、と個人的に思う。