右に「ソ連=自由の国」てふ主張あるらし
はてなダイアリーでたまたま、「蘇聯と熱湯浴」と題する、興味深いというかおぞましいというかな内容の記事を見つけた。
http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20070305/1173063168
要約すると、所謂ネット右翼は、「今の20代後半から30歳すぎぐらい」の世代が主体で、右翼である以上(?)「左翼=ソ連=悪」という思考回路を持っているわけだが、「ソ連」や「左翼」に対するイメージが他の世代と大きく異なっているらしい、とのことである。
左翼についてはとりあえず置いておくとして*1、ソ連についてである。ネット右翼世代(?)にとって、ソ連というのは具体的にはゴルビー*2時代のソ連であり、「ソ連=言いたいことの言える国=国民を甘やかす国=商売も好き勝手できた=だからダメなのだ」というイメージを持っているらしい。
個人的には、世間一般のソ連に対するイメージは「ソ連=強制収容所=言いたいことの言えない国=国民の人権無視=国民はみんな亡命したがってる=だからダメなのだ」に決まってると思ってたし*3、ネット右翼もソ連に対してそのようなイメージを持っているものだと思っていた。しかし、どうもそうではないのかもしれない。
思えば、新聞の広告欄で見かける保守系雑誌の見出には、「『カネさえ儲ければいい』という思想を左翼が広めたから日本はダメになったんだ!」といった感じの言葉が時々載っており*4、そういうのを見るたびに「いや待て、拝金主義を広めてるのは明らかに(以下略)」と思うのであるが、以上のような理論はひょっとしたら「ソ連=経済活動も含めて個人の自由にやらせる国」という信念が根底にあるのかもしれない。
或いは、ネット右翼は北朝鮮を非難する際、金正日への攻撃はおまけ程度にして北朝鮮のそれ以外のあらゆるものに対しても攻撃の鉾先を向けている気がするが、ひょっとすると「北朝鮮=言いたいことの言える国=国民を甘やかす国=だから悪なのだ」と思っているのでは、とふと疑いたくなった。時々目にする「反北の名の下に日本の北朝鮮化を目指す」かのような言動も、皮肉な意味合い無しに彼らの中で無矛盾なのかもしれない。
ソ連はタテマエ上は自国のことを「自由の国」だと主張していた。しかし、実態は自由など無かった。「自由」という点のみを問題にするのであれば、親ソ派は「自由の国」というタテマエを信じていた、或いは自由でないのは一時的なことに過ぎないと信じていた人で、反ソ派はソ連に自由など無いし今後もあり得ないと信じていた人であろう、と思っていたが、皮肉的な意味ではなく文字通りの意味での「自由の国ソ連」に対する反ソ派もいたようである。20世紀前半には純粋にソ連が「自由の国」として恐れられる場面もあっただろう。しかしもうすぐ二十一世紀という時代にもそういうことはあったらしい。