無題

私の行く手には、
空ろな苦しみが延々と続いている。
この人生を生きぬくことができるか否か、
これこそは神が私に与えた試練。


そんなわけ無い。
神は私に試練など与えてはいない。
神は全てを今あるように作っただけ。
ただ今あるように、何の意図もなく。
私が苦悩と虚無の中で終わるか否かも、
全ては神の気まぐれ、
神が既に定めて久しい気まぐれの書のとおり。
私が破滅を逃れるか否かも、
全ては神の気まぐれ、
私がこの宇宙に占める体積と質量の分だけ気を向けて、
かつて気まぐれに定めた書のとおり。


神はどうしてお前に生を与えたか?
何のためにお前を地上に連れてきたか?
問うだけ無駄なこと。
お前たちは知らない、
神が自分の意思のどれだけをお前たちに割いたのかを、
お前たちが世界のどれだけかを。
私はそれを言葉でしか知らない。
分かるのは、分かることができないということのみ。


神の気まぐれにも遠く及ばない気まぐれによって、
この星の上に生じている人々の営み。
ひとたびその輪の外に生まれた私が、
神に祈って何になる?
神は気まぐれにも遠く及ばない気まぐれで、
否、それにさえ遥かに及ばない気まぐれによって、
この世の一切を定めて久しいというのに。


(2009年9月12日)