中秋の名月

詩歌数編


快楽などに縁もなく

快楽などに縁もなく
手の内に酒の他には何もなく
酔へや酔へただ酔へと言ふばかり
酒をあぢはふこともなく


中秋の名月

中秋の名月は雲に隠れて
されど月影は雲を照らして
月は姿を時にあらはす
歓喜の声は我を外して


階段の灯りが消えた

階段の灯りが消えた
要するに今宵も更けた
幾度の夜が更けても
今宵も私は一人だった


中秋の名月

中秋の名月
今宵もただ一人
すぐすこの夜の友は酒なり