テスト

今日(2日金曜日)は某英語史関係の学部授業のテストがありました。テストは総科のK棟であったのですが、K棟でテストを受けるというのは(というより、テストというものを受けるの自体)かなーり久々で、教室に於いてはある意味微妙に場違いさを感じてしまいました(汗

しかし、大学の授業でテストを受けるというのは、これが人生で最後かもしれません。そんなことも微妙に考えながら受けました。

で、肝心の出来ですが。。。最低一問は確実に間違えました。。。(涙

「心性与格」を説明せよとの問題で、「利害の与格」について書いてしまい、しかもその「利害の与格」の内容もけっこう違ってしまっているという、救いようのない間違いです(汗

他に不安なのとしては、「somewheres」という単語について語れ、といった感じの問題がありました。こちらは頭の片隅に残っている授業で聞いた話の記憶をたよりに、「語尾がsだから属格のハズだ」「ロシア語でも生格*1が副詞っぽく使われることあったハズだから、きっと属格の副詞的用法だ」と推測して回答、後で教科書を見てみるとほぼその通りでした。

さて、テストの内容から離れ、昔の英語について。現代英語は格変化は代名詞に一部残るのみですが、昔の英語は名詞にも「複雑な格変化」*2があった、と世間一般では言われています。では、実際に昔の英語(古英語)の格変化を見てみましょう。見てみる単語はende(現代英語:end)の単数の格変化、括弧内は現代英語です。

  • 主格:ende (end)
  • 属格:endes (end's)
  • 与格:ende (end)
  • 対格:ende (end)

。。。現代英語と一緒じゃん!

誤解を招かないよう補足説明をするなら、複数形はもうちょっと複雑で、endas, enda, endum, endasとなるようです。また、古英語(或いはゲルマン語全般?)ではそもそも格は主に指示詞(冠詞とか指示代名詞とかに相当するもの)で表すもののようで、名詞の格変化は最初からおまけ程度のものだったのかもしれません*3。一方で古英語の指示詞はかなり複雑で、主格、属格、与格、対格の他に具格*4があり、それらがそれぞれの数(単数・複数)と性(男性・女性・中性。但し単数形のみ)にあります。これらの性・数・格の変化は、古英語が中英語になり、指示詞が冠詞と指示代名詞に分化する過程でほぼ全て失われてしまったようです。

最後に具格について。ドイツ語をやってる人には馴染の無い(よね?)格で、ラテン語にも存在していませんが、ロシア語等のスラヴ語には現在でも広く存在しています。英語について言うと、英語の「why」は、そもそもは「what」の具格形だったようです。

*1:生格はスラヴ系言語で用いられる用語で、西欧語の属格に相当。なお、「属格」「生格」と名称が違うのは、本質的には日本語に訳す際に生じた差違であり、名称の違いには特に意味はない。

*2:ウクライナ語ほか多くの言語で格変化が7つあるスラヴ系言語(但し日本人に馴染の深いロシア語は6つ)に比べれば、昔の英語の格変化(4つ或いは5つ)は単純である。

*3:ドイツ語でもこの傾向は顕著な気がします。例えばFrauの単数形の格変化はFrau, Frau, Frau, Frau。変化してないし。。。

*4:スラヴ語の造格に相当