酒より楽しいものは無い

どんな楽しみも翌日には苦痛となる

だから、酒より楽しいものは無い

酒のもたらす苦しみは

ただただ体の苦しみのみ

或いは心に苦しみをもたらすことが

あったとしても

酒のもたらす苦しみは

心より

体のほうがずっと重い

酒のもたらす心の苦しみ

そんなもの

体の苦しみの中に

とっとと紛れてしまうだろう

酒より楽しいものは無い

酒を飲むにはただ一人

この自分

自分一人いれば良い

仲間を探すこともない

仲間を見つけるその日まで

おあずけになることもない

仲間を得るまで年月を

先も見えない年月を

はてること無い年月を

ついに仲間を得られずに

何も成し得ず

ただ一人

朽ち果てることも無く

まさに今

そう、今はいつでも酒が手に入る

その酒を

たとえ

いや、まさにそうであるように

たとえ仲間がいなくとも

いつでもどこでも飲める酒

人生の終わりまで

待つこともなく

手元に金させあれば良い

人生の終わりまで

誰に巡り合うこともなく

終わるのを待つ前に

いつでも飲めるこの酒を

たとえ仲間を誰一人

見つけることができなくても

さあ今宵一人で飲もう

たとえ仲間が得られなくても

待つのは鬱だ! 見つかりゃしない!

たとえ、たとえいつの日か

見つかることを信じてたにせよ

その日の前に息抜きもいる

今日はその日だ明日も昨日もそうじゃない

お前の友はこの酒だけだ

いつの日か

お前が真の友を見つける

その日まで

いつ来るとも知れぬ

その日まで

もしもその日が来ないなら

お前の友は

ただこの酒の他何も無い

もしもお前に

この酒の

他に生きるべき道が無いなら

せめて飲め

この酒を

たとえお前の体を傷つけようとも

お前の心に与える傷が

体の傷より小さいならば

酒こそ今ある真の友なら

友を取れ

まだ見ることもない友より先に

まさに今あるその友を取れ

友の名は酒

そう、だから

酒を取れ

或いはそれがお前の

生涯でただ一人の

友かも知れぬのだから